“熟成ブロガー鹿ベえ”です。
平成31年4月16日(火)に北海道の道東、斜里町で、新人会員に対して「熊の狩猟技術の教育」を目的に行われているヒグマ対策技術者育成事業の実施場所の下見をしていた猟友会の会員が熊と遭遇し怪我を負うという事故が起きました。
ここでは、この事故と「人材育成のための捕獲」を継承する「ヒグマ対策技術者養成のための捕獲」事業についてお話ししたいと思います。
—–鹿ベえからYouTubeのおしらせ—–
鹿ベえが実際に行っている鴨猟や鹿猟・ひぐまの駆除作業、散弾銃やライフル銃のことなど
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熊に襲われ怪我!斜里町
出典:STV NEWS
16日午後0時45分ごろ、オホーツク管内斜里町峰浜の山林で、同町豊倉、無職坂本幸一さん(74)がクマに襲われ、顔や腕に軽いけがを負った。クマは坂本さんが駆除した。
斜里署によると、坂本さんは猟友会会員で、同会が開く新人育成の講習に使う場所を1人で探していたところ、クマと遭遇。
持っていた猟銃で1発撃ったが仕留めきれずに逆襲され、鼻や口、両腕に裂傷を負った。
2発目で仕留めた後、携帯電話の通信圏内に移動し、知床財団を通じて同署に通報した。
クマは推定2歳のオスで、体長約1メートル。同署は17日以降、現場付近の住民に注意喚起を行う。
出典:北海道新聞
北海道斜里町の場所
熊に襲われる事故が起きた場所は北海道の道東、知床半島の付け根にある斜里町(しゃり)というところで、マーカー①の場所が斜里町峰浜の住所の場所です。
知床半島近郊は原生林が多く、豊かな自然に囲まれていて、冬期の積雪量も少ないため、鹿も熊も個体数が非常に多い所です。
ヒグマ対策技術者育成のための捕獲とは
「ヒグマ対策技術者育成のための捕獲」とは、ヒグマ出没に対応できる熟練した捕獲従事者の減少及び高齢化が進み、将来的な人材不足が懸念されることから、
ヒグマの保護管理の適正な推進において、ヒグマ捕獲の経験と技術を有する従事者の育成が重要な課題になっている。
そのため、道では、ヒグマ対策に必要な人材を育成し、地域の危機管理体制の充実を図ることを目的として、平成17年から渡島半島地域ヒグマ保護管理計画に基づき「人材育成のための捕獲」を実施し、一定の成果を挙げてきた。
道では、平成26年3月に離島を除く北海道全域を対象として策定した「北海道ヒグマ保護管理計画」に基づき、前述の「人材育成のための捕獲」を継承する「ヒグマ対策技術者養成のための捕獲」を平成28年から全道域を対象に実施する。
出典:総合振興局
という趣旨で実施されている事業になっています。
ヒグマ対策技術者育成事業の対象地区と実施内容
対象となる地域
※鹿ベえが住所を管轄している振興局の内容になっています。
下記の市町村からなる地域となっていて、3総合振興局で16市町村が対象です。
振興局 | 市町村 |
上川総合振興局 | 士別市・鷹栖町・和寒町・剣淵町・名寄市・比布町・愛別町・下川町・美深町・音威子府村 |
宗谷総合振興局 | 枝幸町 |
オホーツク総合振興局 | 興部町・西興部村・雄武町・滝上町・紋別市 |
実施内容
(1)実施期間
実施期間は、春先の残雪期である4月中旬から同年5月中旬までの50日前後。
ただし、捕獲上限数に達した場合は、その時点で捕獲を終了するものとする。
【残雪期とする理由】
・足跡の確認が容易で、前掌幅からオス(満2歳以上)とそれ以外の区別が可能である。
※前掌幅とは、前足の手のひらの一番広い部分をいいます。
・林床植物が積雪下等にあるため見通しが良く、ヒグマの大きさや子連れの有無の確認が容易である。
・見通しが良く、比較的安全に捕獲技術の習得及び生息地の地形等の把握が可能である。
・見通しが良く、広範囲の踏査が可能である。
見通しの良い時期の方が危険性を回避できるし、捕獲技術の習得ができるということからこの時期に実施するということです。
捕獲対象外となっているのは。
・親子連れのヒグマ
・穴グマ
(2)実施区域
実施区域は、上の表に記載のあった各市町村内の一部とする。
実施区域は、事前に振興局へ申請する必要があります。
(3)捕獲上限頭数
捕獲上限頭数は、メス2頭・オス6頭とし、雌雄いずれかの捕獲頭数に達した時点で中止されます。
「人材育成のための捕獲」を継承する「ヒグマ対策技術者養成のための捕獲」について簡単に書きましたが、鹿ベえの住所を管轄する振興局では、このような実施内容になっています。
今回の報道に関して鹿ベえが思うこと
今回起きた熊に襲われた事故は、この事業の場所の下見に行って起きました。
今回、熊に襲われた方は74歳ですから、この土地に長く住んでいれば、長年の狩猟経験から土地勘があると思いますので、
何故、わざわざ下見に行く必要があるのかと思います。
報道写真のとおり、まだ残雪がありますので、林道を車で走れない状況ですね。
しかし、徒歩で場所を探しても、距離的には広範囲を下見するのは難しいんではないでしょうか。
出典:斜里町
上の写真のようにまだ残雪があります。偶然に熊と遭遇したのか、足跡を発見して追跡して出くわしたのかは分かりませんが、出くわしてしまったんですね。
別なテレビ局の報道によると、ライフル銃を所持しているということですから、銃所持の許可を取得してから10年以上は経験があるということです。
※ライフル銃は、散弾銃を継続して10年以上所持していなければ所持することはできません。
また、1発目の弾丸が熊の腹部に当たっているということから、熊と近距離で出くわし、咄嗟(とっさ)に発砲して腹部に当たったのか?
それとも、狙いを付けて発砲したが、急所を撃ち損じたか?
熊は腹部に被弾しても襲撃は可能です。
2歳の熊ということは、まだ親から離れていない可能性もあります。しかし、もし親熊が近くにいたのであれば、恐らく、その親熊の襲撃を受けたと思います。
ふつう、親熊は子熊と2~3年間、一緒に行動を共にし、その間に山野の食べる物や狩りの仕方などを覚えさせてから独立させます。
単独で2歳の熊ということは、多分、親熊から独立したばかりだと思いますので、親熊と一緒でなくて、このハンターは運がいいと思います。
でも、2歳の熊なら人を怖がって、熊が逃げるはずですけどね。
率先して襲って来ることはない方が多いです。
熊の急所はどこか?
お話しのついでに熊の急所についてのお話しをしたいと思います。
熊の急所は・・・・・
・頭部:眉間(みけん)か耳の後ろ部分で、脳を損傷させることです。
この部位に弾がヒットすると、ほぼ1発で動けなくなります。
熊を仕留めたと思っても眉間に1発入れて置く位の用心さが必要です。
・肺や心臓部分:心臓に弾が命中しても熊も鹿も数十メートルは走ります。
肺は呼吸をする度に、かなりの量の出血がありますが、心臓に弾がヒットした時以上に走ります。
今回の事故は幸いにして軽傷で済み、1週間程度の入院ということですので、命に別状は無く何よりです。
怪我による感染症に注意
飼い犬などのペットもそうですが、野生動物に噛まれたり、引っかかれたりした場合、怖いのが「細菌感染」です。
傷口から細菌が侵入して、「化膿」するおそれがあります。
通常は、人間の皮膚が持つ自然治癒力によって傷のまわりに細菌が存在しても感染は起こらず、傷が治って元の皮膚に戻ります。
ところが、傷口が汚れていたりすると、付着した異物や壊死した皮膚組織などから細菌が感染して炎症を起こし、赤く腫れて痛み、膿が出てきます。
これが「化膿」です。また傷が深い場合には、皮下深くに細菌が入りやすく、後から化膿することもあります。
膿は、細菌をやっつけるために戦って壊れた白血球や、死んだ細菌などを含んだ液体で、通常の体液と違って粘りや臭いがあり、黄色や緑色などの色がついています。
いったん化膿すると、傷の治りが遅くなるばかりか、周辺の部位に感染が広がったり、体の抵抗力が低下している場合は敗血症など全身の疾患につながるおそれもあります。
ですから、ペットに噛まれたり、野生動物により外傷を負った場合は、病院で受診して、抗生剤や抗生物質を処方してもらうようにして下さい。
まとめ
北海道斜里町で、新人育成のための場所を下見に行ったハンターが熊に襲われ怪我をしました。
熊の捕獲技術のための新人育成事業の内容をお話ししました。
傷を負った場合は、清潔にして化膿しない処置が必要です。
野生動物によって外傷を負った場合は、必ず診療機関を受診して下さい。
以上、北海道斜里町で起きた熊の事故報道についての記事でした。
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