“熟成ブロガー鹿ベえ”です。

 

ここでは、2019年1月20日(日)に、山梨県で起きたイノシシにハンターが襲われて死亡した事故について考えてみたいと思います。

 

この記事は、

 

・山梨県で起きたイノシシの襲撃事故に興味のある人。

・山梨県で起きたイノシシの襲撃事故について考えてみたい人。

・狩猟をしていて事故に遭わないための参考にしたい人。

・狩猟者の方。

 

この様な人に読んでいただきたいと思います。

 

この記事を読む事で、山梨県で起きたイノシシに襲われた死亡事故と対策が分かると思います。

 

—–鹿ベえからYouTubeのおしらせ—–

鹿ベえが実際に行っている鴨猟や鹿猟・ひぐまの駆除作業、散弾銃やライフル銃のことなど

鉄砲、射撃、狩猟、有害鳥獣駆除に関しての動画をYouTubeで配信しています。

今後も、今までの経験したことを動画で配信していきますので是非ご覧ください。
チャンネル登録もよろしくお願い致します。

>>>鹿ベえのYouTube動画はこちら。

—————————————-

イノシシに襲われ狩猟中の男性死亡

 

 

2019年1月20日(日)午前9時55分頃、山梨県山梨市牧丘町柚子(ゆず)杣口(そまぐち)の小楢山(こなら)の林道で狩猟をしていた同市牧丘町城古寺、会社員長谷川洋さん(59)がイノシシに襲われた。

 

無線で「やられた」と連絡を受けた仲間が、約10分後に駆けつけたが、長谷川さんは、左足を負傷し、意識不明の状態だった。市内の病院に搬送され、同日午後に死亡が確認された。

 

原因は、イノシシに咬まれた左足下腿部等咬傷による失血死だった。

 

日下部署によると、長谷川さんは仲間3人と入山し、現場では1人でイノシシを待ち伏せていて、背後からイノシシに襲われたとみられる。

 

近くに長谷川さんの猟銃が落ちていた。

 

イノシシは山中に逃げたとみられる。同署で詳しい状況を調べている。

出典=産経新聞

 

 

山梨市街から杣口までは、約3kmの距離で、標高が704mの比較的高い土地です。

 

①が現場近くになります。

 

イノシシの分布・特徴・習性

 

 

さて、今回イノシシについて調べてみました。

 

日本には北海道を除いて、ニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2亜種ないし八重山諸島のグループをさらに分けた3亜種が分布する。

 

「猪突猛進」という成句があるくらい突進力が強い半面、犬と同じくらい鼻が敏感で、神経質な動物でもある。本種の家畜化がブタである。

 

古くから狩猟の対象とされてきた動物の一つであるが、非常に神経質で警戒心の強い動物で、普段より見慣れないものなどを見かけると、それをできるだけ避けようとする習性がある。

 

非常に突進力が強く、ねぐらなどに不用意に接近した人間を襲うケースも多い。

 

イノシシの成獣は70kgかそれ以上の体重がある上、時速45kmで走る事も可能であり、イノシシの全力の突撃を受けると、大人でも跳ね飛ばされて大けがを負う危険がある。

 

オスの場合には牙も生えているため、たとえ立ち止まっている場合でもオスの場合は鼻先をしゃくり上げるようにして牙を用いた攻撃を行う。

 

オスの牙は非常に鋭く、訓練された猟犬であっても縫合が必要な大きな裂傷や深い刺傷を負う場合があり、作業服程度の厚さの布も容易に切り裂いてしまうという。

 

この牙による攻撃はちょうど成人の太ももの高さに当たるため、人間が攻撃された場合、大腿動脈を破られて失血死するケースが多く、非常に危険である。

 

メスは牙が短い為、牙を直接用いた攻撃をする事は少ないが、代わりに大きな顎で噛み付く場合がある。

 

メスであっても小動物の四肢の骨程度であれば噛み砕く程の力がある。

 

狩猟中の待ちについて考える

 

巻き猟はふつう、獲物を追い込む役の「勢子」(せこ)と獲物が通過する場所を予測して待ち受けて獲物を仕留める「待ち」の二手に分かれて行う。

 

今回犠牲となった長谷川さんは、「待ち」の役になっていたようだ。

 

犬を使うか使わないかは、それぞれのやり方があるが、犬がいない場合は、人が声や音をたてて獲物を追い立てることになる。

 

犬がいればイノシシにまとわりついて吠えたてるため、イノシシもそちらに気を取られて、人に襲いかかることは確立として少ないと思う。

 

 

ニュースの報道では、写真の場所が事故現場のようだが、みなさんならこの写真の中のどこで獲物を待つだろうか?

 

鹿ベえなら、左側の小高い山の上に待ちをかけると思います。

 

その理由としては、この小高い小山のさらに上はどうなっているのかここからでは見えないが、有る程度四方八方を見渡せる感じがするし、下を獲物が通過した場合、上から狙って発砲してもバックストップ(安土)はある。

※安土(あづち)=弾がくいこんで留まる場所。=バックストップ

 

しかし、林道に向かって発砲できないので獲物の位置と弾の飛んで行く方向を考えて発砲しなければならないほど注意を要する。

 

また、小山の上にいて、イノシシが登って来る場合を想定しても、この急坂を登りきるまでに仕留めることができる。

 

枯れ葉の量からしても、足音で気付く様な量ではないので、やはり姿を確認しなければならない。

 

いずれにせよ、高い位置にいた方が絶対有利になる。

 

 

熊猟の時だが、熊が山の上でハンターが下にいる場合は、弾はかけるなという掟がある。

 

熊が下へ降りて来るのが早く、やられてしまうからである。

 

 

 

今回のイノシシは、仲間の証言から、100kgもある、オスのイノシシで、動きも早かったと証言している。

 

おそらく、「キバ」もすばらしいものだと推測する。

 

100kgの巨体が刃物を持って襲ってくるのだから、たまったものではない。

 

 

待ちに着いた段階で、すでに弾も装填して待っていたのではないかと推測するが、襲われた時に猟銃で撃てなかったのかと思う。

 

それほど、気がつかない内に襲われたのだろうか?

 

ビックリして猟銃を放してしまったということも考えられる。

 

1発イノシシに入っていれば助かったのではないかと思う。

 

>>>鹿ベえのYouTube動画はこちら。

襲われた直後の止血処置を考える

 

襲われて傷は深く、静脈か動脈に達したのだと思う。

 

こういう場合は、とにかく止血である。

 

止血の基本は出来るだけ心臓に近い部分でするといわれている。

 

左大腿に怪我を負ったと言うから、脚の付け根、鼠蹊部(そけいぶ、鼡径部)の下の部分を止血すべき場所だ。

 

鼠蹊部(そけいぶ、鼡径部)とは、左右の大腿部の付け根にある溝の内側にある下腹部の三角形状の部分。

 

解剖学的には恥骨の左右の外側・股関節の前方部にあたる。

 

股間を構成する主要部分の1つである。

 

この部分の下方には鼠蹊靭帯(鼡径靭帯)があり、その下を下肢へと向かう動脈・静脈・リンパ管・神経などが走っている。

 

 

 

緊急の場合だから、ジャンパーを脱いで巻き付けて、周りにある木の枝できつく締めるのと、もう片手で布を利用して、傷口を押さえつける。

 

これで、今できる処置としては、ベストなので、あとは、仲間に状況を素早く伝え、短時間で救急車に乗れば、あとはプロが処置をしてくれる。

 

鹿ベえもそうだが、猟場では思わぬことに遭遇することがあり、過去にも何度か危ない目に遭ったことがありますが、大事には至っていません。

 

ですが、猟場には、予期できないことが起こると想定し、有る程度の対処法は考えておくべきだと感じます。

 

過去に起きた銃器以外の自損事故10例

NO 事故発生月 都道府県 年齢 経験年数 猟種類 事故原因 獲物 事故概要
1 H30.2 広島 49 狩猟 猪逆襲 共猟中、猪に発砲し、動かないことを確認しつつ近づいたところ逆襲され負傷
2 H30.2 群馬 77 16 狩猟 カモシカ逆襲 猪猟の罠に掛ったカモシカを放獣したものの、逃げずに向かって来て角で足を刺され負傷
3 H29.11 山形 68 43 狩猟 熊襲撃 新しい熊の足跡を見つけて追ったところ、木陰より飛び出した熊に襲われ負傷
4 H29.11 鹿児島 80 52 狩猟 鹿襲撃 鹿 くくりわなに掛った鹿の止めさしの際に、角で2mほど突き飛ばされて負傷
5 H29.11 兵庫 68 35 狩猟 猪襲撃 共猟中、待ちにて待機中、猪が出現したもので2発発射も半矢、突進に対し3発目も失中にて、逆襲に遭い格闘した際に負傷
6 H29.11 北海道 70 45 狩猟 熊襲撃 ヒグマに襲われ転倒した後、格闘となった際に負傷
7 H29.9 熊本 69 44 有害 猪逆襲 わなに掛った猪を止めさしの際、ワイヤーを切って突進してきた猪に逆襲され負傷
8 H29.8 岩手 62 37 有害 熊逆襲 熊被害の調査要請で出動し、発見した熊の追い払い作業中、藪から急襲され、銃で仕留めるまでに負傷
9  H29.5 福井 72 40 有害 熊逆襲 檻に入っていた熊の様子を撮影しようとした際、親熊の襲撃に遭い負傷
10 H29.4 高知 46 25 有害 マムシ咬傷 鹿 犬を追って山中を移動していた際にマムシに咬まれ負傷

上記の10例をご紹介しましたが、ごく一部です。

 

過去に起きた銃器関係の事故10例

NO 事故発生月 都道府県 年齢 経験年数 猟種類 事故原因 獲物 事故概要
1 H29.6 島根 78 42 有害 矢先の安全不確認 鹿 囲い罠に掛った鹿の止めさしのため発射した3発のうちの1発により猟友が被弾
2 H29.6 三重 78 30 有害 矢先の安全不確認 鹿 待ち場から鹿に向けて発砲したところ、農業柵内で除草作業中の女性が被弾した
3 H29.8 宮城 74 50 有害 跳弾 わなに掛った猪の止めさし中、わなから逃れた猪に向け2発発砲した際、弾の一部が跳弾となり、猟友が被弾
4 H29.12 宮崎 69 46 狩猟 暴発 鹿 3名で共猟中、当該事故者の方角から銃声がした後、無線連絡がとれなくなり、猟友が捜索したところ、頭部から出血し、倒れている当人を発見
5 H29.11 宮崎 65 40 狩猟 転倒暴発 鹿 共猟中、獲物を発見し駆け出した際、何かに足を取られて転倒したときに暴発し、右上腕部を負傷
6 H29.10 長野 54 18 射撃 銃発砲音 ライフル射撃場で、準備のためにイヤープロテクターを未装着で射台に入っていた時、隣の射台で撃った音で耳が聞こえずらくなった
7 H29.9 埼玉 66 14 射撃 銃反動 クレー射撃中、発砲した瞬間に右肩に激痛が走り、右腕が挙がらなくなった
8 H29.11 福井 64 39 射撃 銃破裂 射撃場にて猟期前の射撃訓練中、機関部(先台)が破裂したため、指を負傷
9 H29.12 愛媛 76 56 狩猟 銃破損 獲物に向けて発砲した際に、銃が破損し左手を負傷
10 H26.2 北海道 75 40 狩猟 暴発 鹿 シカを発見し、車輛の助手席から下車する際にライフル銃が暴発し、後部荷台の同行者が死亡

上記の10例をご紹介しましたが、ごく一部です。

 

ご覧のとおり、いずれも事故ではありますが、ちょっと、冷静になって考えてみると、防止できる事故が多いと感じます。

 

 

事故防止の基本確認としては

 

・矢先の確認

・獲物の確認

・脱砲の確認

・獲物に弾が当たっても死んだと安易に判断しないこと

 

この事を守って、楽しい狩猟をするようにして下さい。

 

>>>鹿ベえのYouTube動画はこちら。

まとめ

 

1月20日に山梨県で起きた、ハンターがイノシシに襲われて死亡した事故を考えてみました。

 

今回、犠牲になったハンターの方のご冥福をお祈り申し上げます。

 

また、ご家族様には、謹んでお悔やみ申し上げます。

 

2度とこのような事故が起きないように、十分気を付けて狩猟をして下さい。

 

以上、山梨県で起きた、イノシシに襲われて男性が死亡した事故についての記事でした。

 

■関連記事

 

⇒事故を起こさない為の銃器の取り扱い上の注意点

⇒鹿ベえが遭遇した、銃の跳弾による事故の実話の【第1話】

⇒銃の跳弾事故の実話、救急活動のチームプレイ【第2話】

⇒銃の跳弾事故の実話、診療所から総合病院への搬送【第3話】

⇒銃の跳弾事故の実話、頭部に弾が残っていた驚愕の事実【第4話】完結編

⇒北海道恵庭の猟銃誤射事故は白いタオルが鹿のお尻に見えたから